バーチャルクラブ『LaMer(ラメール)』のベータテストに参加してきました
LaMer(ラメール) とは
株式会社アビスさんが新しく始められた(というより、LaMerを始めるために作った会社?)、バーチャルでキャストと二人だけの特別な時間を過ごせるサービスです。
蒼い海の底のラウンジをイメージした、重厚なVR空間でキャストと二人だけの上質な時間を過ごせるサービスだそうです。
この手のサービスには珍しく、最初からデスクトップ版とVR版の両方がサポートされています。
vrclub-lamer.jp
twitter.com
studioabyss.co.jp
今回はオープンして間もない時期ということで、キャスト/サービスともに初々しい姿が見れるかと思い参加してみることにしました。
LaMerを知ったきっかけはTwitterの広告でしたが、5月1日から数日だけプロモーションを打っていたようで、今はもう見れなくなってしまいました。私が対象から外れただけでしょうか?
ユメノグラフィアβ版やPrhythm☆StellAプレオープンの時と同じように、実際に体験してみての感想を書きたいと思います。
サービス体験の流れ
まず最初にサービスを体験するまでの流れを記載しておきます。
以下の感想にはこの流れを把握していないと、いまいち何を言っているのかわかりづらいため、軽く覚えていただけると嬉しいです。
まず最初にホームページから席の予約します。この時指名や要望があれば一緒に指定します。
予約したタイミングでユーザーガイドが記載されたPDFのURLやクライアントDL用URL、Googleカレンダー登録用URLが記載された予約完了メールが送られてきます。
そして予約時間の1時間前までに座席確定メールが届き、ここにクライアントに入力する用の「お席ID」と「パスワード」が記載されています。
この時予約時の要望について、お店側からの返答も一緒に記載されているので確認しましょう。
予約時間間近になったらクライアントを起動し、お席IDとパスワードを入力します。
キャストさんとの処理の都合上か、時間間際(5分前程度)にならないと認証が通らないようになっています。
ログインできたらHMDを被ります。すると注意事項が書かれた準備部屋に飛ばされます。
この時長い間画面が暗転したままなので、あれ?と思ってもそのまま待ちましょう。
概ねテストアプリと同じことが書かれているので、事前にテストアプリで読んでいた方は読み飛ばしても大丈夫そうです。
準備部屋の最後で音声テストを行って、机に現れるベルを鳴らして本番スタートになります。
時間いっぱいまでお話しして、時間になったら自分でクライアントを落とす形で終了になります。
一般客としての感想
キャストさんについて
今回はフリー指名で3回体験させていただいたのですが、1回目に野々ののこさん、2回目に華城ヨミさん、3回目に恋摘いちごさんに対応していただきました。
お三方ともとてもお話上手で、会話下手な私が行っても楽しい時間を過ごせました。
個人的な押しは華城ヨミさんです。
どうもVRChat民のようで、アバター改変やVRoid Studioでの制作などもやっているらしく、だいぶこちら側の人間だなと感じました。
同類だなーと分かった途端にオタク特有の早口されたのは良かったです。
世界観について
キャストさんの世界観は「私たちバーチャルで生きてます!」みたいなVTuber的な感じではなく、遠隔キャバクラをやっています、というような感じだったので、普通にリアル世界の話とかも出てきます。
「友達と○○に行ったときに~」みたいな会話もしますし、途中野々ののこさんが脇に置いていたパイの実を落とした音が聞こえたのは面白かったです。
料金について
ベータテストということで、席料30分/500円、指名料500円で体験できます。
本稼働の際にはいくらになるのか気になるところですが、似たサービスのユメノグラフィアが30分/4400円(指名料込み)ですので、大体そのぐらいになるのかなぁと予想しています。
写真撮影について
この手のサービスには珍しく、静止画ならキャストさんの許諾を得たうえで撮影が可能になっています。
VRChatのようなカメラ機能は実装されていないので、自分でウィンドウを撮影する必要がありますが、大変良いと思います。
事前にOBSなどで撮影できる環境を整えておき、撮影タイミングになったら使用できるようにしたらよいと思います。
またキャストさんとのツーショット写真も撮ることができ、キャストさん経由でスタッフさんを呼んでいただき、後日メールで送っていただくという形になります。
今回撮影させていただいた写真を以下に貼り付けておきます。
Oculus Linkの対応について
公式にはサポートされていませんでしたが、最後の恋摘いちごさんの時にこっそり試してみました。
画質は少し落ちますが普通に体験することができました。
Oculus Linkの設定を詰めれば画質も改善するかもなので、Oculus Quest / Quest2しか持ってないんだけど!という方でも楽しめそうです。
キャストスケジュールについて
予約画面にて、キャストさんごとにこの日のこの時間は空いている、といった予定表をリストで見ることができるのですが、この日のこの時間に誰が空いているのか、というような日時ベースの検索ができませんでした。
「この日空いてるからLaMer行こうかな~」みたいなユースケースは考えていないのかもですが、できたら嬉しいなと思います。
クレカ番号入力について
決済画面にてクレジットカード番号を入力する必要があるのですが、クレカ情報が保存されないため決済ごとに入力しないといけないので面倒です。
ただしこれはセキュリティの観点から保存したくない、という気持ちも十分にわかるので、PayPal対応くらいが妥当なところかなぁ?と思っています。
音声入力デバイスについて
既定のデバイスが入力デバイスとして選択されるのですが、選択できる枠がどこかにあると嬉しいです。
「既定のデバイス変えろよ!」と言われればそれまでなのですが、VRやってると既定のデバイスがコロコロ変わるので管理が難しかったりします。
音声テストについて
準備部屋においての音声チェックを行う画面にてダミー音声が流れるのですが、これがとても小さいです。
おそらく通常の半分程度の音量なので、この時の音に合わせて音量調整してしまうと耳を壊してしまいます。
またマイク入力のテストについても、音が入力されていることはわかるのですが、どういった音が入力されているかの確認ができないため、本当に正しいマイクから入力されているのかがわからないです。
例えばボイスチェンジャーを使用されている方とかの場合は致命的な問題になりかねません。
音のループバックをしていただけると助かります。
と思ったのですが、テスト画面のテキストを読むとどうやらループバックがされているハズのようです。
現在は何も聞こえないので、バグか何かで機能が死んでいるようです。
ID/パスワード入力画面について
IDとパスワードを入力する画面において、VR内でID/パスワードをペーストするのが難しいです。
入力枠の横あたりにクリップボードからペーストするボタンがあると嬉しいです。
またパスワード入力画面ですが、以下の画面をパッと見て何を入力すればいいのかわからず混乱したりしました。
お客様IDが空欄なのが混乱の原因だとは思うのですが、お客様IDを入力すればいいのかパスワードを入力すればいいのか、最初はわかりませんでした。
よく読めばパスワードを入力すればいいことはわかるのですが、フォントサイズの変更などで視線誘導をもう少ししてくれたら優しいかなと思います。
ペンについて
よくVRChatに置いてあるようなペンがテーブルに置いてあるのですが、線色がピンクしかありませんでした。しかもマテリアルエラーの時のピンクです。
ちょっと心臓に悪いのでもうちょっと優しい色に変えていただくか、ガワの色が赤と青のペンでしたので赤色と青色の線色が出せると良いなと思います。
お客側のアバターについて
現状は頭がモニターにこちゃんマークが書かれた謎の男でしか体験できないのですが、やはり自分のアバターで参加したいです。
VRoid HubやTHE SEED ONLINEと連携してくれると嬉しいです。
左がお客側アバター
終了処理について
お客がクライアントを落として終了、というのは潔いというか男気溢れる仕様だと思うので、キャストさんの何らかのアクションで退室させる、みたいなフローがあってもいいのかなと思います。
これはフラッシュアイデアなのですが、終了画面で今回撮った写真一覧が表示されて、すぐにTwitterなどに投稿出来たら良いかもです。
エンジニアとしての感想
各種同期システムについて
Managedフォルダの中身を見てみたらPhoton系のDLLが入っていたので、おそらくPhoton Unity Networking 2とPhoton Voice 2を使用していると思います。
assetstore.unity.com
assetstore.unity.com
Unityバージョンについて
2019.1.7で開発されてるようですが、なんでLTSバージョンを使わないんだろう…?と疑問に思っています。
何かクリティカルなバグがあったか、忙しくてバージョンアップデートが後回しになっているか、だとは思いますが。
あら結構古いバージョンで開発されてるのね pic.twitter.com/FIYLW0fnTT
— karukaru (@_karukaru_) May 3, 2021
Googleカレンダーについて
予約完了したときのメールに、ご丁寧に予定をGoogleカレンダーに登録してくれるURLも一緒に送ってくれます。
これ自体はすごくありがたいことなのですが、いざ予定を入れようとすると以下のようにタイトルが「分 /」となっていて、何の予定なのかさっぱりわからないものが登録されてしまいます。
せめて「LaMer」という文字列と、指名したキャストさんの名前くらいは載せておいてもいいのかなと思います。
対応機種について
現在はOculus Rift / Rift Sのみの対応になっていますが、SteamVR対応してくれればほぼ全てのHMDに対応できるので、そこは改善してほしいなと思います。
というかユメノグラフィアの時もそうでしたが、なんで初期リリースがOculus系しかないサービスが多いんですかね?
SteamVR Plugin入れれば簡単に対応できるのに、と思います。
準備画面での怪しい挙動
右コントローラのスティック押し込みを行ったら、ベルを押下していない(そもそも出現していない)のに本番がスタートしたので、もしかしたらデバッグ用アクションが残っていたりするかもです。
ただし準備画面でいろいろとコントローラ入力を試していた時だったため、本当に右スティック押し込みが発火したアクションかは確信が持てませんでした。
起きたのも最後の1回だったため、その後検証することもできませんでした。まあこういうのは内部のエンジニアさんにお任せしましょう。
ペンについて
何かしらの遠方のオブジェクトが影響して、一部が透けて見えるような挙動を示していました。
キャストさんとは別方向、右奥の方向を向いてペンで何か書くと、遠方のテーブル?窓枠?の上あたりと干渉して透明になってしまいます。
シェーダ起因のエラーだと思うのですが、クリティカルな問題ではないですし、普通にコミュニケーションに使用する分には問題ない(キャストさんの方向を向いてる場合は透明にはならない)ので、ゆっくり修正していただけたらと思います。
ライセンス表記について
アプリ内やホームページ内のどこにも、ライセンス表記を見かけなかったのですが大丈夫でしょうか?
パッと見た感じ、Unity標準機能とAssetStoreで入手できるもの、あとOculus SDKのみ入っているので、大体は大丈夫かと思いますが…。
各アセットの細かいライセンスや、Oculus SDK License Agreementをちゃんと読んでいるわけではないので断言はできませんが。
総評
総評としましては、細かい粗はあるものの、全体的にレベルの高い良コンテンツ 、という感じです。
かなり完成度が高く、ベータテストとは思えないほど高クオリティでした。
サービスも非常によく、特に写真撮影がOKなのが嬉しいです。
思い出として写真があるというのは非常に良い体験でした。
メタいことを言ってしまうと、こういったレビュー記事を書くときに画像が入れられて嬉しい、というのもあります。
うまく運営していけば長寿になるとは思うのですが、いかんせんPR能力が低いようで、多くの人に認知されていない状態なのが残念です。
プレスリリースすら出していないようなので、それは出したほうが良いかなと思います。
PANORAさんやMogura VRさんにプレスリリース送り付けたら掲載してくれると思うので、試してみてはいかがでしょう。
余談
今回のレビュー記事を書くにあたってユメノグラフィアのレビュー記事を読み返していたのですが、このようなサービスを展開する会社さんがもっと出てくるかも、と書いていたので予想大当たりでした。
ただ2年も間が空くとは思っていませんでしたが…。
とても良いサービスだと思います。今までVR空間内で一対一のコミュニケーションを売りにしたサービスは無く、良いところに目を付けたなという感じです。
私の知り合いに同じような試みをVirtualCastでやっている方がいて、一定数そのような需要はあるのだと感じているので、今後同じようなサービスを展開する会社さんも出てくるかもしれません。
ユメノグラフィアβ版体験会に参加してきました - karukaru808’s blog より引用
おまけ
文中に入りきらなかった写真を貼り付けておきます。
LaMerではこんなこともできるんだ~程度に眺めていただければと思います。